風の動きを光色変化でインタラクティブに表現、特別な夜景を演出
ウシオエンターテインメントホールディングス株式会社(東京都中央区/代表取締役:牛尾 志朗)の子会社であるウシオライティング株式会社(東京都中央区/代表取締役社長:椿 隆二郎、以下ウシオライティング)のLED照明が、2017年4月3日にスタートした、大阪市北区中之島中央エリアでの堂島川護岸ライトアップに採用されたことを、お知らせします。
大阪府は、「大阪ミュージアム構想」のもと、他都市にない「水都大阪」の魅力を高め、ブランド力と発信力を向上するため、「ライトアップと水辺の創出事業」において、「水の回廊(大阪市内中心部を囲む河川)」の川沿いにある既存資産を活用した、光の景観形成を推進しています。
2009年からエリア内の橋や船着き場のライトアップが開始され、さらに2012年には、大阪府と大阪市が共同で「大阪都市魅力創造戦略」を策定、重点取り組みの1つとして「水と光の首都大阪の実現」を掲げ、より魅力的な光景観の創出に取り組んでいます。当ライトアップも、この取り組み推進に向けてのもので、中之島中央エリア(田蓑橋~渡辺橋~中之島ガーデンブッリッジ:第1、2工区、水晶橋~鉾流橋:第3工区)の護岸を、色鮮やかに彩っています。
写真:A.P.First 荒木 義久
本案件には、以下の製品が採用されています。
● RLB・LEDライトバー(特注仕様) x 703台
● DMXレコーダ(UDMR) x 9台
● 無線制御システム(無線送受信機) x 10台
● 風向風速計 x 2台
本案件では、特別な夜景を演出するために、エリアを吹き抜ける風によって表情を変える川面に着目、風の動きに応じて光色を変化させる演出プログラムを採用しています。プログラムにより、LEDライトバーが発する色を無線制御し、桜色や暖色系の和風色彩を再現することで、護岸を歳時記に合わせてカラフルに染めあげています。また、風向風速計で風の流れを計測し、風向は「光の色」、風速は「白色光の動き」に変換、インタラクティブな表現を実現させています。
採用された製品について
RLB・LEDライトバー(特注仕様)
黄色、電球色といった低色温度の発色、明るさを意識して、RGB(R:Red=赤、G:Green=緑、B:Blue=青)のGをL(ライムグリーン)に置き換えた、新しい「RLB」という照明コンセプトにより、独自技術のカラーミキシングで最適化させたLED照明器具です。
「RLB」は、幅広い領域での色温度変化を表現でき、特に桜色、薄紫、アンバーといった中間色を美しく再現するほか、RGBと比べて発光効率にも優れています。
今回、使用しているRLBライトバーは、護岸の設置環境に合わせて特別に設計したもので、コンパクトな照明器具にワイド/オーバル(楕円)という2種類の配光を搭載し、護岸面だけでなく、水面も同時に、均等な光を照射しています。
DMXレコーダ(UDMR)
UDMRは、最大512ch.のDMX信号と音響機器などを制御するほか、MIDI信号の記録、再生もできるDMX・MIDIレコーダです。
DMXによって制御されたLED機器などの演出を何度でも繰り返すことができるだけでなく、MIDIをはじめ、多彩なインターフェースをもつことで、外部の音響・映像機器と同期させ、演出全体のトータルコーディネートも可能にします。
無線制御システム
都市の屋外環境下における長距離通信を考慮し、混信を防止するため、通信タイミングを制御可能とする「マルチホップ方式
*」を採用したことが特長といえるシステムです。
送受信機の通信経路に冗長性をもたせたことで、外部環境および、その変化による通信トラブルを回避することが可能です。
使用している無線制御機器の基礎技術、設計、ソフト開発には、ウシオ電機・技術部門の培ってきたスキル、ノウハウが活かされ、機器自体には、①チャンネル数が多い、②通信速度が速い、③連続データ通信が可能である、④波長が短いのでアンテナを小型化できるといった特長があります。
最終的には、現場での通信実験を繰り返し、安定的な通信環境を整えるための検証を行い、この演出照明を実現させました。
そういう意味では、ハード、ソフトの両面に、ウシオグループの英知が結集されているといえます。
*マルチホップ方式:各無線機に「レイヤ番号」を割りつけて、それぞれの無線機を制御させる順序、タイミングをコントロールする方式
設置状況について
LEDライトバーは、護岸面の上部に、遮光板付きで一列に設置しています。
昼間の景観を害さないようにアーム構造は採用せず、さらにコンパクトな器具形状を実現したことで、できるだけ護岸(面)に近接させることが可能になり、結果として、護岸(面)と照明器具の距離が従来と比べて1/3程度におさえられ、壁面に出る光のレスポンスが早まりました。
また、1つの器具に2種類の配光レンズを搭載、角度を変えて水面と護岸を照射することで、護岸に対して光の高い均斉度を確保しています。
なお、照明デザインは、スタイルマテック・松本設計室が担当。
「揺風囁光(ようふうしょくこう)」をライティングコンセプトとして、風渡る川面を走る風、光り囁くように光が揺らぐ、そんな川面のゆらぎを光により表現しています。
第1、2工区は、中之島にいざなうゲートとして、新しく動きのある光(クリエイティブな光)をテーマに、光と水が一体となった光環境を実現させました。
堂島川を渡る風を感じ、「ささやく光」を表現、光と水のゆらぎ夜景を演出します。
第3工区は、水都大阪の中心で、近代大阪の風格が漂うエリアであることを意識し、中央公会堂や船場の近代ビル建築と調和する落ち着きのある光(資源をリスペクトする光)をテーマに、光景観を構成しています。
時間帯により、きらめく川面を対岸に投影、自然のゆらぎが風とともに表現されています。
ライトアップの開始後は、
● ライトアップにより、地域の方々が長く愛せる、新たな夜景が生みだされた
● ここを訪れた人々が、エリア全体を周回しながら光景観を楽しむだけでなく、「驚き」や「ときめき」、「不思議さ」、さらには「歴史性」を感じ、発見できる中之島の夜間景観が創出された
● デザイナの想い、コンセプトが忠実に再現されている
といったコメントをいただいています。
案件情報
施主:大阪府
照明設計:有限会社スタイルマテック・松本設計室
設置::小寺電業株式会社
製品納入、オペレーション:ウシオライティング株式会社
導入事例集
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堂島川護岸ライトアップ/導入事例
付近図
地図データc 2017 Google, ZENRIN