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半導体の設計・前工程を簡単解説。【その1】

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2020/10/02

半導体の設計・前工程を簡単解説。【その1】
精密機械などに使用されている半導体を製造するには、約20にも及ぶ工程があります。また半導体の製造工程は設計からICチップを作るまでの「前工程」とそれ以降の「後工程」に大きく分けられます。 ここでは、半導体の設計と前工程の作業について詳しく解説していきます。

本記事で紹介する作業

ここでは前工程で特に重要な6工程について解説します。

 ■半導体の前工程
作業の名称 概要
回路設計、パターン設計 半導体の全体像とフローを作成設計を行う
フォトマスク作成 ウェーハを焼き付けるためのガラス製の原版を製造する。
インゴットの引き上げ 石英ルツボにシリコンの多結晶を入れて融解させてから、単結晶のシリコンとして取り出す作業。
インゴットの切断 引き上げたインゴットをダイヤモンドブレードで小さく切ることで、ウェーハを作成する作業。
ウェーハの研磨 研磨剤を使った磨くことで、ウェーハを鏡面状にする。
ウェーハの酸化 ウェーハは拡散炉の中に入れて、高温の状態に晒すことで酸化膜を作る。
各作業の詳細に関しては以下で詳しく説明していきます。

前工程の主な作業【回路・パターン設計、フォトマスク作成】

半導体を作る際、最初に回路設計とパターン設計を行います。それからフォトマスク作成を行うというのが、最初の流れです。では、各工程の具体的な内容について見ていきましょう。

回路設計・パターン設計

半導体の中にはさまざまな回路が使用されています。回路設計は、使用する回路の中身や、回路の配置パターンなどを決める作業です。一般的には半導体の機能そのものを決める「システム設計」をそのために必要な電子回路を決定する「ロジック設計」を行い、「回路設計」を作成します。 また、より具体的なパーツの配置して詳細な回路を検討することから「パターン設計」と呼ばれることもあります。 回路の配置により動作の効率を左右することもあり、これから製造する半導体の全体像を決定する作業であるため、重要度の高い作業です。

フォトマスク作成

回路設計とパターン設計が終わった後は、ガラス製の原版である「フォトマスク」を作ります。フォトマスクは、回路を半導体物質の結晶である「ウェーハ」に焼き付ける際に使用します。 回路を1チップずつフォトマスクに焼き付けるため、設計に基づいて焼き付けるスペースを作っていきます。

前工程の主な作業【インゴットの引き上げ~ウェーハの酸化】

次にウェーハを作るための作業について見ていきましょう。まずはインゴットというものを作り、それを切断することでウェーハになります。その後、出来上がったウェーハを研磨、酸化する作業を行います。

インゴットの引き上げ

インゴットを作るには、まずは「石英ルツボ」と呼ばれる容器にウェーハの原料になる「高純度多結晶シリコン(ポリシリコン)」を入れて溶解する必要があります。 石英ルツボ内でシリコンを加熱、融解し、結晶棒を差し込んで回転させることで、単結晶のシリコンが付着してきます。 回転させればさせるほど、付着する単結晶シリコンが多くなり、太さが増していく仕組みになっています。この作業の後に取り出した単結晶シリコンが「インゴット」です。

インゴットの切断

石英ルツボから引き上げたインゴットは細長い形状をしています。 そのままの形状では利用できないため、小さく切断して使用可能な形状にしなければなりません。 ただ、インゴットは非常に硬く、通常のカッターなどでは切断することができません。 そのため、インゴットを切断する際にはダイヤモンドの超砥粒を使った「ダイヤモンドブレード」を使用するのが一般的です。 あらかじめ決められている厚さになるようにして、輪切りにしていきます。こうしてインゴットを切断したものが「ウェーハ」です。

ウェーハの研磨と洗浄・乾燥

インゴットを切断することで、ウェーハの形状ができあがりますが、そのままの状態ではまだ使えません。 回路パターンの品質を保つには、ウェーハを鏡面状にする必要があります。そのため研磨剤を使用してウェーハの表面を研磨しなければなりません。 また、研磨した後は残った研磨剤を落とすために洗浄し、洗浄後の乾燥工程では赤外線(ハロゲンヒーター)を使用することで、精密なウェーハに傷をつけることなく乾かすことができます。

ウェーハの酸化

ウェーハは回路パターンを焼き付けるために使用するパーツです。回路パターンを焼き付けられる状態にするには、酸化膜を付けなければなりません。 そのためにはまず、研磨し終えたウェーハを何個かまとめて石英管の拡散炉の中に入れます。さらにガスも拡散路の中に注入し、ヒーターを使用して拡散炉の中の温度を上昇させることでウェーハが酸化しやすい環境になります。 拡散炉の中の温度は、900度から1,100度くらいとかなりの高温です。しばらくすると、ウェーハの表面に酸化膜が形成されます。

高品質な半導体を作るには初期段階の作業が重要

半導体を作る前工程の中でも最初の方で行う作業では、フォトマスクやウェーハを作ります。 いずれも半導体の品質を左右する大事な作業です。こちらで紹介した1つ1つの作業で高品質な半導体を作り上げています。

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