人手不足が深刻化する中で、製造業では工程の自動化による省力化や人件費の削減などが活発に図られています。食品工場も例外ではなく、さらに「HACCP(ハサップ)」への対応も検討する必要があります。
そこで、今回はHACCPを巡る動向と食品工場における自動化の取り組みについて紹介していきます。
食品工場の自動化の取り組みとHACCP(ハサップ)
まずは食品工場の自動化に関して、行政と民間企業の取り組みについて確認していきましょう。
併せてHACCPについても紹介します。
工場自動化の標準規格制定の動きが広がる
農林水産省では、人手不足に悩む食品製造業界に対して人工知能を活用した省人化を推し進めています。
現在、原材料や製品の検品を手作業で行っている食品メーカーが多いとされています。
また、製造工程の自動化の際に導入する機械は各メーカーが独自開発するケースが一般的です。全ての製造工程で使う機器が同一メーカーではないので汎用性が低く、自動化は一部のフローに留まり、工場全体のオートメーション化が実現しにくいという現状が課題に挙げられています。
このような状況を受けて、農林水産省では官民で労働力不足解消を目指すための方策を検討しています。
また、食品メーカーでも複数社でグループを作り、自動化のための機械を設計する取り組みが始められています。
各メーカーが別々に自動化のための開発を行うのではなく、標準規格を作ろうという動きが広まっているのです。
HACCP(ハサップ)とは
食品製造業では、製造工程の効率化に加えて異物混入や食中毒菌汚染などを防止する「衛生管理」も重視されます。その大きな手法の一つが「HACCP(ハサップ)」です。
HACCPはコーディックス委員会という国連食糧農業機関と世界保健機関の合同機関が発表しています。国際的に認められている衛生管理の手法で、日本のみならず世界各国の食品工場にその採用が推奨されています。
HACCP(ハサップ)における各工程のポイント
HACCPの基本は、原材料の搬入から出荷するまでの工程を細分化し、工程ごとに衛生状態の確認を行い記録することです。
例えば、調合作業では比率などを記録し、充填作業では温度や充填量などを記録するという内容になります。
密封、冷却、包装などの工程においても、その工程で重要となるデータを1つ1つ記録し、トラブル発生時に原因究明に活用します。
また、数ある工程のなかでも特に重要度の高いとされているのが熱処理です、重要管理点として扱われており、殺菌温度や時間などを連続的に記録して監視する必要がります。HACCPを導入している食品工場においては、従業員もHACCPの基準を遵守するための能力を備えておく必要があり、そのための教育や訓練などを受けた従業員の配置が推奨されています。
食品工場の代表的な工程と自動化のポイント
食品工場の自動化を実現するためには、製造工程だけでなく、製造後の包装工程も重要です。
包装工程は製造後に容器に充填して充填後はフィルム包装を行い、その後個包装と進むことが一般的です。
個包装の後は印字と検査を行い、ここまでの工程が正しく行われているかどうかをチェックします。
その後、外包装を行えば多くの商品は店頭で売られている状態になります。最後に再び検査を行い、問題なければ出荷されるのが一般的な流れになります。
包装と検査をいかに迅速にかつ正確に行えるかが自動化の大きなポイントに挙げられます。
例えばウシオライティングでは、このような包装~検査工程で使用できる機械を販売しています。個包装の工程で使用するストローアプリケータと、検査の工程で使用するビン外観検査機です。
どんな機械なのか具体的に紹介していきましょう。
ストローアプリケータ(個包装)
ストローアプリケータは、清涼飲料水などのパッケージにストローを貼り付けるための機械です。
容器の形状や大きさ、材質などに関係なく正確な位置に貼り付けられます。
賞味期限の印字や位置補正などもできて、バーコードや印字などとストローが重なってしまう心配もありません。
ワンドライブ方式なので、メンテナンスも簡単です。
ビン外観検査機
ビン外観検査機は、主にビン入りの清涼飲料水や酒類などの検査工程で使用します。また、ビンのほかにもペットボトル入りの飲料でも使用可能。複数のカメラを用いて検査するため、小さなひび割れなども見逃しません。
側面は全周を回るようにして2回にわたってチェックするほか、別途に指定した特定の箇所を再度検査することも可能です。
飲み口の部分を3方向からチェックできる機能も備わっています。省スペース設計なので、既存のベルトコンベアを動かすことなく簡単に設置できます。
HACCP(ハサップ)と自動化が食品工場の課題
食品業界における人手不足は非常に深刻ですが、国と各企業が協力して作業の自動化がどんどん進められています。
自動化が進むことで、少ない人手で業務を行えるようになり、食品業界の将来も明るくなるでしょう。
機械を使用した作業が増えることで、工程を正確に記録できるようになり、衛生管理にも役立ちます。
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