日本では2021年にHACCP(ハサップ)が義務化されることが決定しており、各食品工場ではハサップで定められた手順に従って食品を製造することになります。
そして、ハサップを導入するにあたって重要な位置を占めるのが品質管理と検査機器です。ここでは、食品工場における「品質管理」および「検査機器」についてまとめました。
食品工場における「品質管理」の概念と関連機器
食品工場における品質管理は、「原材料の管理」、「製造工程の管理」、「製品の管理」の3つに大きく分けられます。安全な食を消費者に提供するためには、食品製造業者は全てを正しく管理する必要があるでしょう。ここでは、それぞれにおいて具体的にどのような管理が行われているのかを紹介します。
原材料の管理
安心安全な食を守るためにまず重要なのが「原材料の選定」です。2019年現在、同じ種類の原材料を供給している企業は複数あり、それぞれの企業で同じ品質の原材料を提供しているわけではありません。
食品製造業者は原材料メーカーの評判や品質体制、原材料の安全性や安定性などに関する様々な情報を得たうえで、慎重に原材料を決める必要があります。
また、受入の際には原材料メーカーの品質成績書や試験データを必ず確認しましょう。さらに原料だけではなくカップやフタ、袋などの規格も把握することで、原材料の品質を保証することができます。
製造工程の管理
食品の製造工程においては、衛生管理を徹底する必要があります。食品工場で作業する従業員は、専用の清潔な作業着を身に着け、入室前チェックを行ったうえで作業を開始しなければいけません。
これを行うことで、食品への異物混入を事前に防ぐことができます。また、生産ラインでは多くの場合で検査機器が設置されています。
肉眼での確認に加えて検査機器を導入することによって、何か問題が起きた場合でもスムーズに対応することができます。さらに、製造工程では工程検査も行われます。
温度や時間、水分量などを適格に計測することで、製品の品質を高いレベルで維持することができます。
製品の管理
製品が完成したら、製品検査が行われます。そして、厳しい検査基準や製品規格をクリアした製品のみが最終的に市場へと出荷されます。また製品検査を行う際、製品そのものの味やにおい、色などをチェックするのはもちろんのこと、包装状態なども丁寧に確認していきます。
さらに、多くの企業では出荷後の流通経路などを管理する「トレーサビリティ体制」を整えています。厳しい検査した製品でも、出荷された後に問題が発覚する可能性はゼロではありません。そのような万が一の場合でも、トレーサビリティ体制が整っていればすぐに追跡・回収することができます。
品質管理に欠かせない検査機器とは
食品工場で品質管理をするにあたって欠かせないのが、検査機器です。目視での確認も重要ですが、検査機器を使用することによって品質管理をより徹底することができます。
ここでは、数ある検査機器の中でも使用されることが多い「金属検出器」、「ウエイトチェッカー」、「X線検査装置」、「画像検査装置」の4つを解説しましょう。
金属検出器
金属検出器は、食品に金属が混入していないかどうかを確認する検査機器です。金属には磁界(磁力線)を変化させる性質があるため、その変化を検出することによって食品内の金属の有無を調べることができます。
万一、食品に金属が混入した場合、消費者が健康損害を受ける可能性があり、訴訟にも発展しかねません。そのため、金属検出器を用いた品質管理はリスクマネジメントのためにも非常に重要です。
ウエイトチェッカー
ウエイトチェッカーは、高い精度で重量を測定する検査機器です。これを導入することで、生産効率を落とすことなく製品の品質をキープすることができます。重量やサイズに合わせた様々なタイプのウエイトチェッカーが販売されているため、その製品に合った機器を選ぶことが大切だといえるでしょう。
X線検査装置
X線検査装置は、細いビーム上のX線を検査品に照射することによって、様々な種類の異物を検出できる検査機器です。
金属をはじめ、石や骨、プラスチックなども検出できるため、食品の安全管理には欠かせません。また、異物混入だけではなく製品の割れ欠けもチェックすることができます。
画像検査機器
食品の異物混入を、視覚的に検出する検査機器です。2Dカメラの機器と3Dカメラの機器があり、3Dカメラの機器ではより高い精度で品質管理を行うことができます。画像検査機器を導入することで目視以上に確実な品質管理が実現でき、また人件費も削減も図れます。
HACCP(ハサップ)の導入の前に品質管理の見直しを
ハサップは食品の安全を確保するための管理手法であり、これを遵守するためには各工程の徹底した品質管理が欠かせません。また、品質管理の精度を上げることによって企業としてのブランドイメージを上げることも可能です。本格的にハサップを導入する前に、ぜひ一度品質管理および検査機器の見直しを行ってみてはいかがでしょうか。
FAに関するご相談はこちらをクリックしてください
FA機器のサイトはこちらをクリックしてください