施設内で農作物などを栽培する「植物工場」は、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。実は植物工場には、栽培に欠かせない「光」の利用方法によって大きく3つに分けられます。
今回は植物工場について理解を深めるうえで重要な工場の種類と、基本的な設備について解説します。
利用する「光」で分かれる、植物工場の種類
植物工場は太陽光のみを利用する「太陽光型植物工場」、人工光だけで栽培する「人工光型植物工場」。さらに太陽光を主に利用しつつ、「補光」として人工光を使用する「太陽光・人工光併用型植物工場」の3種類に分けられます。
人工光型植物工場は、その形態から「完全閉鎖(密閉)型」と呼ばれることもあります。まずは代表格である太陽光型植物工場と人工光型植物工場について解説します。
人工光(完全閉鎖)型植物工場
LEDや白熱灯などの人工的な光のみを利用して、農作物を栽培する施設のことを「人工光型植物工場」といいます。栽培品目は、レタスの葉菜類やきのこなどが中心です。栽培品目と人工光型植物工場のメリット、デメリットを以下にまとめたので確認してみましょう。
■人工光型植物工場の栽培品目
・レタス
・ターサイ
・ルッコラ
・レッドオーク
・レッド小松菜
・サンチュ
・グリーンマスタード
■人工光型植物工場のメリットとデメリット
メリット
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デメリット
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天候・季節の影響がない(安定栽培)
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初期コスト・ランニングコストが高い |
環境管理によって室内空間で栽培可能
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栽培方法が確立している品種が限られる
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連作障害のない水耕栽培が可能
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安価な作物の栽培には不向き
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無農薬・栽培期間の大幅な短縮を実現
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定期的なメンテナンスが必要
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人工光型植物工場では、上記のメリット・デメリットから「高付加価値」な作物の栽培が一般的です。そのため、グリーンマスタードやレッドオークなどの少し馴染みのない葉菜が栽培品目の中心になりつつあります。これらの通常の葉菜類よりも希少な栄養素などを含む「機能性野菜」として需要が高まりつつあるので、高付加価値な作物の栽培方法の確立が、人工光型植物工場が普及する大きなポイントだと考えられます。
太陽光利用型植物工場
ガラスハウスやビニールハウス内などの半閉鎖空間で、太陽光を利用して作物を栽培する工場のことを「太陽光型植物工場」といいます。一般的なハウス栽培とは、気温や湿度などの複合環境制御設備による施設内の環境を高度管理している点が異なります。
■太陽光型植物工場の栽培品目
・カブ
・大根
・トマト
・イチゴ
■太陽光型植物工場のメリット・デメリット
メリット
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デメリット
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初期・ランニングコストが低い |
人工光と比べると効率・安定栽培が困難
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根菜類・果実など幅広い品目が育成可能
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収益化のためには広大な敷地が必要になる
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ある程度の安定性などを確保できる
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完全無農薬栽培が困難
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太陽光型植物工場は、人工光型植物工場と比べると「低コストで運用でき、栽培できる品目が幅広い」というメリットがある一方、無農薬栽培や安定栽培、さらに栽培期間の短縮などは劣ります。主力の栽培品目も両者は大きく異なるので、同じ植物工場であっても出荷する品目や詳細な市場は別々であることを理解しておきましょう。
植物工場におけるLED技術
植物工場における光の利用は、工場の設備や栽培品目の選定にまで影響するとても重要なポイントです。特に人工光型植物工場では、光熱費のランニングコストは収益化に直結します。
このような背景から、近年の人工光型植物工場では、ナトリウムランプや蛍光灯などの光源よりもLEDが選ばれるケースが増えています。LEDは白熱灯や蛍光灯と比べると、どのような特長があるのでしょうか。その代表例をまとめました。
人工光型植物工場におけるLEDのメリット1:長寿命
まず、LEDは他の光源と比べると非常に長寿命であることが挙げられます。高圧ナトリウムランプの寿命は約1万2000時間、メタルハイドランプは約1万時間、蛍光灯は最大1万4000時間で、LEDはその約4倍の寿命であるとされています。
大量の光源を必要とする人工光型植物工場では、単純計算で交換の頻度が4分の1になるLEDはコストパフォーマンスに優れ、交換作業の省力化という点においても光源として重用されているのです。
人工光型植物工場におけるLEDのメリット2:近接照明に対応
人工光型植物工場では、栽培する作物から数センチほどの高さに照明を設置するケースも珍しくありません。LEDは他の光源をよりも熱放射が少ないのが特長で、より省スペースで作物を育てることが可能です。これは収穫量や売上高にも直結する重要なポイントといえるでしょう。
ウシオライティングはLED照明で植物工場に貢献
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