現在では一般的となっている集魚灯漁業ですが、その歴史はいつ頃始まったのでしょうか。
ここでは、集魚灯漁業の始まりや利用されてきた光源、そして最新のLED集魚灯の特徴などについてご紹介します。
魚が光に集まる習性を古代の人類は知っていた
多くの種類の魚は光に集まる習性を持っており、これは「走光性」と呼ばれています。
魚が光に集まる理由は未だに明らかになっていませんが、エサとなるプランクトンが光に集まるためという説、見慣れぬ刺激に好奇心が刺激されるという説、生理的あるいは生態的に好ましい照度を選んでいるという説、人工光に対して適当な距離を選択できないという説などが唱えられています。
このように魚の走光性については現在も謎に包まれていますが、人間がこの性質を知ったのは古代のことでした。
人類が火をおこせるようになったのは有史以前のことであり、その後まもなくして何種類かの魚が光に集まることを見出したのです。
そして、魚を捕らえるためにこの習性を利用するようになったのも火をおこせるようになってから程ない頃だといえるでしょう。
当初行われていたのは、水辺にできるだけ近いところで火を焚いて魚をおびき寄せ、集まったところで魚を捕獲するという単純な方法でした。
しかしその後は火を運ぶ技術や魚を捕獲する技術が発達していき、少しずつ現在行われている集魚灯漁業に近いものになっていきました。
松明からハロゲンランプ、LEDへ。サンマ漁などに欠かせない「光源」の変遷
集魚灯漁業においては光源が欠かせませんが、時の流れとともに使用される光源も変化してきました。ここでは、サンマ漁に欠かせない集魚灯光源の変遷についてまとめました。
松明
集魚灯漁業に利用されてきた光源の中でも、特に長い歴史を持つのが「松明」です。
松明を手で持って歩きながら魚を誘引して捕獲していたのは決して太古の昔の話ではありません。江戸時代までは、佐渡(現在の新潟県佐渡島)や島根県ではイカ釣りなどに松明が利用されており、オーストラリアやカメルーンではこの方法を用いた漁業が行われていました。
現在でも岡山県や香川県、愛媛県、高知県などの一部の地域では、この形態での漁業が続けられています。
石油集魚灯・アセチレン集魚灯
最初の集魚灯である松明から、大きく進歩したのは明治時代後半になってからのことです。まず、石油を燃やす「石油集魚灯」が使用されるようになり、次第により明るいカーバイド(炭化物)を燃やす「アセチレン集魚灯」が普及しました。これらの可燃物を燃やして、光源をつくることを「燃焼光源」といいます。
燃焼光源から電気的光源へ
大正~昭和初期になると蓄電機(バッテリー)が発明され、集魚灯は大きな転換期を迎えることなります。これまでの燃焼光源からバッテリーや発電機を組み合わせて、小型電球などを照らす「電気的光源」が使われ始めました。アセチレン集魚灯の燃料となるカーバイドよりも安く、明るいため広く全国に普及しました。
白熱灯
戦後は主に電気を使用する光源が使用されるようになり、「白熱灯」が主役の座におどりでます。
白熱灯は、過電圧をかけることによって光が橙色から白色へと近づく光源です。
白熱灯のデメリットは効率の悪さで、加えた電力の10%前後しか光になりません。その一方で、安定器が必要ない、すぐに点灯するなどのメリットもあります。
なお、窒素やアルゴンなどの不活性ガスに加えて微量のハロゲン物質を封入した白熱灯はハロゲン灯と呼ばれます。
放電灯
白熱灯やハロゲン灯よりも省エネなことから、第一次オイルショック(昭和48年)をきっかけに誕生したのが「放電灯」です。放電灯は、放電によって発生する紫外線を蛍光物質を用いて可視光に変換したり、封入された金属化合物を放電によって気化させて発光する光源で、蛍光灯や水銀灯、ナトリウム灯、メタルハライド灯などがこれにあたります。集魚灯としては、おもにメタルハライド灯が利用されています 。集魚効果においては白熱灯に劣らないものの、安定器が必要、点灯までに時間がかかるなどの欠点もあります。
LED
そして、様々な光源の中でも最先端だといえるのがLEDです。
最近では、従来の集魚灯からLED集魚灯に切り替えて漁業を行っているところも多いようです。
最先端の集魚灯「LED」の特長
近年使われ始めているLEDの集魚灯には、従来の集魚灯とは大きく異なります。
メリットが大きいLED集魚灯は、今後はさらに普及が進んでいくといえるでしょう。
ここでは、そんなLEDの特徴を4つご紹介します。
照射効率が高い
LEDを使うと、海面以外への光の放出を抑えることができます。
その結果、海面や海中を効率よく照らすことができます。
紫外線をほとんど含まない
従来の集魚灯とは異なり、LEDの光は紫外線をほとんど含みません。これまでも、
人体への健康被害はほとんど報告されていないことから、長期にわたって漁業を行う作業者にとってもメリットといえるでしょう。
寿命が長い
LEDは寿命が長く、メタルハライドに比べると約3~4倍ほど長持ちします。
そのため取り替える手間やコストも抑えることができます。
省エネできる
LEDは発光効率が高いため、従来の集魚灯に比べて大幅に省エネすることができます。
省エネすることによってコスト削減できるのはもちろんのこと、環境にも優しいといえるでしょう。
集魚灯を利用するならウシオ
魚が光に集まるという性質を人間が発見したのははるか昔で、光を利用した漁業は古代から行われていました。
最初は松明からはじまり、白熱灯や放電灯を経て、近年ではLEDの普及が進んでいます。
そして、ウシオライティングでは50年近くにおよぶ集魚分野での実績と知見を活かし、ハロゲン、メタルハライド、LEDの集魚灯を開発しました。
高効率なウシオライティングの光は、省エネやコスト削減などのニーズに応えることができます。
集魚灯を購入する際には、ぜひウシオライティングの集魚灯をご検討ください。
ウシオライティング船舶用照明カタログ「Sealeds」はこちらです。